将棋解説書

先崎学『やりなおしの将棋』(岩波アクティブ新書)

 駒の動かし方くらいは知ってるし、いまさら『初めての将棋』みたいな本にあんまり高いお金は出したくないなー、という人にオススメの本。「やりなおしの~」という書名も、昔やったことあるけど、という人を対象として想定しています。
 もちろん、本当に初めての人でも大丈夫。
 内容は、ルールの説明から、棒銀・矢倉・四間飛車を例にした序盤の解説、囲いの紹介、終盤の手筋、詰将棋、まで一通り。
 一冊目に買う本としてはまず手頃かと。新書だし。

北島忠雄『将棋上達の方程式 手筋の公式 基礎編』(日本将棋連盟)

 歩から順に、駒の種類ごとに基本の手筋を解説した本。
 人によっては物足りないかもしれませんが、指し方を覚えたての初心者が読む「二冊目」としては手堅い内容で、類書でこれだけまとまったものはなかなかないと思います。
 北島六段はこれが最初の著書だそうで、文章はいまひとつですが読みにくいというほどではないです。

羽生善治『上達するヒント』(浅川書房)

 海外向け棋書『Habu's Words』の内容に加筆したもの。
 普通の定跡書と違って、アマチュアの実戦譜を検討しながら、さまざまな局面での形勢判断、指す上での方針、考え方などを具体的に解説するというユニークな構成。
 読みやすく、類書がないという意味でもオススメ。

週刊将棋・編、監修・山崎隆之六段(当時)『ひらめき次の一手 初級編』(毎日コミュニケーションズ)

次の一手って全然やったことなかったんですよ。なぜなら全くわからないから。
詰め将棋なら王手をかけ続けるという縛りもあるし、無駄な駒は盤上にないわけだから、自ずと手は絞られるけど、いきなり一局面を見せられて次の一手と言われても! と。
今回は個人的に好きな山崎七段の著書はないかなと思って、これしかなかったので買ったのでした。
監修といっても、内容は週刊将棋掲載の段・級位認定問題なので、山崎七段はその中から問題を選んだくらいでしょうか。解説にどれくらいタッチしているのかは不明。
そんな理由で買ったんですが、初級編だけに最初の方は3択になっていて、さすがにこれなら正解できる、というくらいの問題。解説もよくわかるし、初めて手応えを感じる「次の一手」に出会ったという感じです。オススメ。
続刊に『中級編』『初段編』も有り。監修は同じ山崎七段。

棋士の著書

#include(): No such page: 関連書籍

その他(小説・ノンフィクション)

大崎善生『聖の青春』(講談社文庫)

夭折した天才・村山聖の生涯を描いたノンフィクション。マンガ、TVドラマにもなった傑作。

河口俊彦『大山康晴の晩節』(新潮文庫)

 最晩年まで強さを維持した大山康晴の身の処し方、というテーマも見事だが、著者自身が元プロ棋士でもあり多くの逸話が紹介され読み物としても非常に面白い。

マンガ

かとりまさる/安藤慈朗『しおんの王』(講談社、月刊アフタヌーン連載)

 原作者のかとりまさるは、元女流棋士・林葉直子のペンネーム。
 両親を殺害されたショックで失語状態になった小学生女流棋士が主人公。未解決のその事件の謎がストーリーの軸となるミステリー仕立ての展開。TVアニメ版は特にその傾向が強かったようですが、原作は少ししか読んでいないので何とも。そろそろ完結?

柴田ヨクサル『ハチワンダイバー』(集英社、週刊ヤングジャンプ連載)

 プロを目指して挫折し奨励会を退会した主人公が、真剣師として謎の組織(?)と戦う、というストーリー。
 作者自身、小学生の時に奨励会に入会直前までいったという棋力の持ち主で、ストーリー展開に合わせて将棋監修の鈴木大介八段がオリジナルの棋譜を創作しているという。将棋そのものの描写に関しては最も本格的かも。
 放送中のTVドラマ版は原作に比べると薄味な感はあるが、ヒロイン「アキバの受け師」はかわいい。

羽海野チカ『3月のライオン』(白泉社、ヤングアニマル連載)

 家族を事故で亡くした高校生プロ棋士が主人公。
 将棋監修は先崎学八段。作中の対局には過去の名局譜が借用されている。
 前作『ハチミツとクローバー』が大ヒットした作者の新作ということで広く注目されており、将棋以前にマンガとして非常に読み応えがある作品です。

能條純一『月下の棋士』(完結)

 将棋監修は河口俊彦だったんですね。
 あまり読んでなかったんですが、『哭きの竜』と同様に物凄いハッタリで押すマンガ。実在の棋士をモデルにした登場人物が多数登場し(性格はともかく)、全体としては現実のプロの世界を土台にして描いていたようです。
 TVドラマ化もしてましたが私は一度も観てないので何とも言えません。


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